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更新日:2010年2月1日
平成7年1月17日、阪神・淡路大震災が起こり、築後70数年のヨドコウ迎賓館も少なからず被害を蒙りました。調査が進むにつれ、大きな地震力が建物全体に加わっていることが分かり、またその範囲は広く、しかも見えない部分にまで及んでいました。
平成7年から平成10年2月にかけて、前回同様、淀川製鋼所が修復工事の事業者となり、国・兵庫県・芦屋市・復興基金からの補助を合わせた予算で、本格的な調査及び修復工事が行われました。
文化財修復の場合、言うまでもなく、できる限りオリジナリティーを尊重し、修復することが求められています。今回の工事でも当時の配合に近いコンクリートを現場で練り、コンクリートの打替補修に使用したり、当時の砂漆喰(すなしっくい)に近い組織、同じ色の砂漆喰で修復を行うなどの努力がなされています。
また内装の建具、照明器具、造作材、大谷石などについても、できる限りオリジナルを修復して使い、破損したもののみ当時の形式技法に従って新造、修復されています。
特徴的な外部装飾の大谷石の脱落・破損部分についても新たに作成した大谷石が補填され修復されています。今回の修復では、これ以外にも家屋の耐久性や今後の地震に対する対策として、一部の基礎コンクリートの新設補強と、建物に対する土圧を緩和するために、1階北側地中と2階北側地中にL型擁壁が新設されています。こうして日本で初めてのコンクリート造建築の、しかも地震による難工事は無事に終わり、偉大な建築家ライトの貴重な遺産をまた皆様に公開することができるようになったのです。