(4) 広報あしや 平成31年(2019年)2月1日号 No.1245 国指定重要文化財 ヨドコウ迎賓館     リニューアルオープン フランク・ロイド・ライトが設計した近代建築として世界的に知られている国指定重要文化財ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)は、保存修理工事のため平成28年11月から休館していましたが、平成31年2月16日(土)にリニューアルオープンします。 本号ではこのヨドコウ迎賓館の魅力や注目のポイントをご紹介します。 問い合わせ 生涯学習課 ☎38-2115 国指定重要文化財 ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)とは  国指定重要文化財旧山邑家住宅は、灘五郷の蔵元「櫻正宗」当主8代目山邑太左衛門(やまむらたざえもん)が芦屋に建てた別邸です。この建物は、帝国ホテル建設のために来日していたアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが大正7年(1918)に設計し、工事はライトが帰国した大正12年に着手され、大正13年に竣工しました。実施設計と施工管理はライトの弟子である遠藤新(えんどうあらた)と南信(みなみまこと)が行いました。施工は女良(めら)工務店。  昭和22年(1947)に株式会社淀川製鋼所の所有となり、昭和49年5月21日には国指定重要文化財に指定されました。平成元年(1989)からヨドコウ迎賓館として一般公開され、現在に至ります。  旧帝国ホテルと同じく幾何学模様の彫刻を施した大谷石(おおやいし)が特徴的で、内外装に多用しています。階数は4階ですが、実際は立地する丘陵地形に沿うように2階ごとにずらして階段状に建てられており、1階は車寄せと玄関、2階は応接室、3階は和室・洋室(主寝室など)・浴室、4階は食堂と厨房などの構成になっています。4階からはバルコニーへ出ることができます。そこからの眺望はすばらしく、芦屋川を中心に広がる市街地や大阪湾を一望できます。 ヨドコウ迎賓館の保存修理工事  国指定重要文化財であるヨドコウ迎賓館を確実に将来に残すためには科学的な調査と分析に基づいた保存修理工事を定期的に実施する必要があります。これまでに2回の保存修理工事を実施してきました。1回目(昭和60~63年)は激しく老朽化していたため全面的に修理し、平成元年から一般公開されました。2回目(平成7~10年)は阪神・淡路大震災によって被災したため、災害復旧工事として実施しました。  今回(平成28~30年)は、屋根の防水工事を中心に外壁の飾り石の修理などを実施しました。また、より一層の活用のために、手すりが付けられ、ライトアップ用LED照明が設置されました。今回の工事を含め国庫補助事業として所有者の淀川製鋼所と国・県・市が協力して行いました。 設計は近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト  フランク・ロイド・ライト(1867~1959年)は近代建築三大巨匠の一人と称され、「有機的建築(Organic Architecture)」を提唱し、建築理念として自然と建築の調和を掲げました。代表作は、落水荘(カウフマン邸)、グッゲンハイム美術館など。日本での作品としては、旧帝国ホテルがよく知られています。生涯で行った設計は1, 000件を超え、その内の400件以上が実現した多作の建築家です。しかし、実現した建築は母国アメリカ以外ではカナダと日本にしかなく、そのうち日本でほぼ完存しているのは芦屋のヨドコウ迎賓館と東京・池袋の自由学園明日館(みょうにちかん)だけです。  このようにヨドコウ迎賓館は、ライトが残した作品として世界的にも重要なものです。ライトは設計に取りかかる前に自ら芦屋を訪れ、この場所をとても気に入ったと言われていますが、六甲山からのびる丘陵地形や周辺の緑と一体化して建てられたヨドコウ迎賓館は、まさしくライトの建築理念である有機的建築であると言えます。 ■あしやトライあんぐる放送時間 特集:市役所分庁舎がオープン ①午前9時②正午③午後3時④午後6時⑤午後10時〈15分〉  [問い合わせ]広報国際交流課 ☎38-2006